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注意欠如・多動性障害(ADHD)のはなし。【基礎知識・観点別②】

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Support / 支援Intervention / 療育支援Base of ADHD / ADHDの基礎知識ADHD / 注意欠如・多動性障害
この記事は約7分で読めます。
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レモンシャーベットを食べようとしたまさにその時、嫁さんより

「大根おろしやん

という言葉をいただきました。

ひつじぃです。

はじめに

今回は様々な観点から見るADHDの第二回目ということで、みんな大好き心理学を見ていきます。

ADHDの人はなぜ衝動的になってしまうのか?不注意になってしまうのか?多動になってしまうのか?

その答えのひとかけらをお渡しします。本日はメカニズムをお伝えし、支援法・対処法は後日お伝えします。

それでは、れっつご~。

当サイトでは、ADHDを「注意欠如・多動性障害」と呼びます。
これは、従来の「注意欠陥・多動性障害」の「欠陥」という言葉が、人間として劣っているような感覚を与えてしまうと感じるからです。
現在、社会的には「注意欠如・多動性障害」と「注意欠陥・多動性障害」が混在しています。
私は研究者ではなく、「発達障害・学習障害の人と定型発達の人がお互いにラクに生きる」ことを目指す素人のため、言葉の持つイメージを優先し、前者を使用します
和訳の問題であるため、引用文はそのまま記載します。

例え話をはさみながら、できるだけ分かりやすく説明していくよ!

実行機能障害仮説

前回の記事の脳機能の視点で、「前頭前野の活動不全」として「実行機能」のお話をしました。

実行機能とは

実行機能とは、一言で表現すると「自分自身の行動をコントロールする仕組み」です。

実行機能を円滑に機能するための最も重要な要素として「行動抑制」が挙げられます。
行動抑制とは、一言で表現すると「我慢することや待つこと」です。

行動抑制とADHDの関係

ADHDの人は、この行動抑制に困難を抱えているとされます。

行動抑制に困難を抱えていると…

「周囲の刺激が気になって注意散漫になってしまう」
「思いついたらよく考える前に行動してしまう」
「話したいことがあると相手の反応を待てず話し続けてしまう」

ADHDの特徴である「衝動性」「不注意」といった側面が説明されますね。

この状態は「ブレーキのうまく効かない自動車」と例えることができます。

パワフルである一方、危険でもあります。

衝動性が高い人だと、「鍵かけたっけ」と心配になると子どもを置き去りにして帰ってしまったりきれいなモノを追いかけていったら海の中、なんてことがあります。
実際に命の危険にも繋がる一方、脳機能の障害であるため意識での自己制御は非常に困難です。
脳の成長によって改善されることもありますが、逆に言うとすぐに改善することは難しいです。
投薬やGPSなどでの対策が必要となります。

ワーキングメモリー障害仮説

ワーキングメモリーとは

ワーキングメモリ-は作業記憶とも呼ばれ、ごく短い時間情報を記憶しその情報を処理する能力を指します。

ワーキングメモリーは「行動」と「記憶」が同時進行するものであり、処理能力自体を指します。短い時間覚えている「短期記憶」とは別です。

心のメモ帳」「心の作業場」とも呼ばれることがあり、コミュニケーション、学習、その他日常生活において大切な役割を果たします。

パソコンの「メモリー」と同じような感じです。

ワーキングメモリーとADHDの関係

ADHDの人は、ワーキングメモリーの容量が小さいことが多いと知られています。

これは、意欲の問題ではなく、脳機能の記憶の問題です。

ワーキングメモリーの容量が小さいと…

「一度にたくさんの指示を理解できない」
「メモ書きできない」
「他の刺激に注意を奪われる」

つまり、こういうことです。

この画像の通り、ひつじぃはワーキングメモリーが小さく、「電話で聞きながらメモができません」。

つまり、
「電話で声を聞く」「メモをする」の2つの動作をするだけのワーキングメモリーがない
「一度に覚えていられる話」のワーキングメモリーが小さい
ことが考えられます。

しかし、視覚的な情報は多く長く覚えていられます。恐らくですが、各認知機能別にワーキングメモリーがあるのか、認知特性が関わっているかと思われます。

「学校で板書ができない」という困りごとの要因の一つで多いのが、このワーキングメモリーです。
前の黒板を見て覚えたことが、手元のノートに目を移した時に消えてしまうのです。
加えて読字・書字障害を持っていると、黒板の内容を写真のように記憶することが多く、余計覚えていられません。
タブレットで写真を撮るなどの対策が考えられ、学校の許可を得て行うこともあります。
しかし本人の自尊心にも配慮する必要があります。教室で一人だけ写真を撮ることに関して抵抗感がある子は少なくありません。

報酬系機能障害仮説

報酬系機能とは

報酬系機能とは、「何らかの報酬を得たり、報酬を期待したりする時に人に快の感覚を与える脳や神経の働き」のことです。ここで言う報酬は、金銭やモノにとどまらず、褒められる認められるなども含みます。

人は報酬を得ることで満足し、報酬を期待することは意欲や判断に大きな影響を与えます。

こちらの記事でお伝えしている「レベルアップするかもわからないのに敵がどんどん強くなっていくRPGゲーム」は、まさに報酬のない修行ですね。

報酬系機能とADHDの関係

前回の記事で紹介した通り、ADHDの人は「線条体・側坐核の活動不全」が見られます。脳のこの部位は、報酬系に関わるものでしたね。

ここから分かることは、「ADHDの人は報酬により満足感を得ることや、将来の報酬を予測して行動することが難しい」ということです。

報酬系機能が弱いと…

「報酬に魅力を感じるが、長続きしない、すぐに飽きてしまう」
「報酬を得られるのが先々だと待つことができない」
「短期的に報酬を得られる方法がない場合続かない」

これにより、行動の持続が難しいこと簡単に報酬が得られる方法を選択しやすいことすぐに報酬が得られないとやる気が起きないことなどが見られます。

これらは時に「子どもっぽい」と見られますが、「ある分野で子どものまま発達が遅れている」とも考えられます。

例えば子どもは「今」の時間が大事であり、「今」遊びたいために、「明日にしたら?」は中々受け容れられません。同じような傾向がADHDの人にも見られると言われます。

ここから、ADHDの人の独特な時間感覚(時間処理障害)も説明されるのではないかと、勝手に考えています。これはまた後日。

おわりに

今回は、短い文字数で集中的に心理学を見ていきました。

私自身、ワーキングメモリーがとても小さいと感じています。

仕事をしていて「あ、あれ気になる」「あれ伝えないと」と思ったら頭から全く離れず、どうしてもそちらに流れてしまいます…。他のことが気になったらすぐ忘れてしまうことも分かっているので、余計ですね。

これに対して、私は常にメモを手元に置き「すぐにメモする」「メモを見返す時間をアラームで設定する」としています。ここまでしてようやく脳が開放され、ラクになります。

日常生活でも、常にスマホにメモできるよう、環境を整えています。お陰でスマホが手放せません。

しかし一方で、気になったことはすぐにGoogle先生に聞くので、同僚からは「歩く辞書」と言われていました。知識を持てるのは悪くないですね。

同じように、日常の小さな違いに気づいてくれるのはいつでもADHDの子たちでした。眉を少し整えただけで気づいてくれる彼らの能力は凄いもので、細かいところを見るお仕事にはピッタリだと思います。

さて、心理学から特性のメカニズムを見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。

支援法・対処法は後日となりますが、「ここまで知識があってようやく色々工夫ができる」というのも分かっていただけたかと思います。

それでは、次回はADHDの具体的特徴に入っていきます。またお逢いしましょう。

メモは友達!

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