
全力で冬眠したい。
どうも、ひつじぃです。
はじめに
今回から、数概念の具体的な支援・対処法に入ります。数概念ってなに?という人はこちらへどうぞ。
れっつごー。

今回は序数性だよ!
対象の困りごと
① おおよその量は分かるが、「◯個」と数えられない。
例:数えられるモノを分ける際大体の個数で分ける
② 1から10を順に数えられない。
例:少ない個数は見てすぐ分かるが多い個数を「1、2、…」と数えられない、指を折って数える
③ 計算を大体の数で行ってしまう。
例:「2+3=6」「7-3=3」となったりする
④ 2桁以上の数の配置の順番が分からない。
例:「15」と「51」がごっちゃになってしまう
事前に考えるべき点(前記事と同じ)
前記事と同じ内容ですが、欠かすことができないもののため、記載します。
すでにご覧になった方は、次に進んでください。
視覚に異常はないか。
眼球運動に異常があると、数字が認識できません。よって、違う数字でも判別が難しくなります。
また、桁の認識も難しくなると考えられます。
ADHDの不注意特性はないか。
モノを数える際、注意が大きくそれてしまい一瞬数を数えることから意識がそれている可能性があります。
そうすると、正しく数えることは難しいと思われます。
聴覚に異常はないか。
聴覚に異常があると、数詞の音が聞き取れません。そのために発音を間違えていたり、判別ができていない可能性があります。
ワーキングメモリーに異常はないか。
視覚的・聴覚的ワーキングメモリーに異常があると、数を数える際に覚えていられません。
視覚や聴覚は医療機関に、不注意・ワーキングメモリーはWISC等の検査で分かります。
これらがクリアできていたら、次の項目へ進みましょう。
支援・対処法
基数性・序数性について
復習です。詳しくはこちらの記事へどうぞ。

序数性は「数を数えること」、基数性は「数の大きさを把握すること」と関連します。
これにより、今回の困りごとは「基数性は理解できているが、序数性は理解できていない」状況だと分かります。
メカニズム
序数性・基数性の理解には、認知処理特性が大きく関わってきます。
序数性は「数を数えること」=「数が順序を表していることの理解」です。
系列的に順序で考えるのは、継次処理能力が大きく関わります。
基数性は「数の大きさを把握すること」=「数が量を表していることの理解」です。
概念的に考えるのは、同時処理能力が大きく関わります。
今回は序数性なので、こちらに焦点を当てて考えてみます。
一桁の数に関しては「1,2,3…」という順序が分からない。
注意点としては、これは「パッと見てりんごが2個あると分かる」こととは別です。
「りんごを『1個、2個、3個…』と数えていく」ことと関連があります。
二桁以上の数に関しては、「51」の「1」は「イチ」と読むのに、「15」の「1」が「ジュウ」と読むことが理解できない。
これは、「数字の配置にどういう意味があるか」ということが理解できているかどうかです。
こういった苦手があると、「モノをグループに分けること」はできるのに「モノを数えることができない」となり、知的遅れを疑われることもあります。
また、計算でつまずいていても、根本の数概念が理解できていなかった、ということも良くあります。
序数性の習得の工夫
すごろく
数処理と同じすごろくですが、今回はサイコロではなく、「すごろく本体を作る」ことがメインです。

※ご自由にコピーしてお使いください。後日といろプリントにて、ハリーが手直ししたものが公開されます。
このすごろくの目的は、
・自分で数字を書くことによって、数字の順番を習得する
・2桁の数に関して、数字の順番の中で読み方と数字の配置を習得する
です。
まず、プリントしていただいて、お子さんと一緒に丸の中に「1,2,3…」と数字を書き込んでいってください。
5の区切りで色が一周し、キャラクターが出てきます。
書き込む際、必ず一緒に数字を読むようにしてください。
こちらは数詞=数字の数処理の面が関わってきますが、特に二桁以上は「数の配置の違いによる数詞の違い」があるので、こちらでも読んで欲しいと思います。
丸を左右に配置したりキャラクターを増やしたりと楽しくする要素は沢山ありますが、まず始めは「序数性の習得」を重視してシンプルに取り組んでもらうのが良いかなと思います。
慣れてきたら、オリジナルのすごろくを作っても良いですね。
数処理のサイコロを使っても面白いかもしれません。
注意点(前記事と同じ)
前記事と同じ内容ですが、欠かすことができないもののため、記載します。
すでにご覧になった方は、次に進んでください。
考える順番
① これは算数障害の問題なのか
② 算数障害であれば四領域のどこに困難があるのか
③ 領域の中の具体的にどういった点に苦手があるのか
必ずこの順で考えるようにしてください。
この記事をはじめから辿っていけば大丈夫です。
間違えることへの恐怖
「苦手な子はどれだけ強がっていても『できなかったらどうしよう』と常に思っている」
これを忘れないことを徹底して欲しいと切に願います。
正確には、恐れているのは「間違えること」ではありません。
間違えることによって「どう思われるか」です。
しかしこれは本人の中のことであり、「だったら周りがどう思っているか伝えればいいよね」は100%の回答に絶対なりません。
どれだけ「大丈夫」と言っても、「もしかしたら」が拭いきれない、そのくらいの気持ちの中に彼らはいると考えてもらえたらと思います。
試してもできない時
「試してもどうしてもできない」ということも、もちろんあります(脳機能障害からくるLDなど)。
その場合は、
「これ以上続けて本人の自尊心が低下すること」
「能力を獲得しラクに生きることができること」
この2つを天秤にかけ、必ず本人の気持ちを聞いてください。
勉強は「ラクに生きる可能性を広げるためにするもの」です。
その勉強によって結果的に自尊心が低下し、可能性が狭まってしまうようなことは絶対に避けるべきです。
どうしてもできない場合は、トップダウンでツールに頼ればいいのです。
スマホをかざせば「何個あるか」を表示してくれるものもあります。
「習得は絶対ではないこと」
「どこまで学習すべきかの判断基準を常に持つこと」
この2つを必ず心に留めて、「本人と一緒に」取り組んでいただきたく思います。


おわりに
さて、今回は数概念の序数性に関して見ていきました。
すごろく1つだけの工夫でしたが、要点は「楽しく順番に数える練習」ですので、色々と応用はできると思います。
一応お金での練習も考えてみたのですが、お金は「100円玉1つで100という量を表す」という基数性の面が大きいモノなので、序数性に振り切って習得できるようにすごろくだけにしました。
ここでも、学習の要点を絞ることが大事、という面が見られますね。
さて次回は、数概念の基数性の習得についてご紹介します。
それではまたお逢いしましょう。
みかんは3つで1つと考えてます(謎)!今日はまだ1つしか食べてないよ!!
【発達障害・学習障害のお子様がいるご家庭の保護者相談】
発達障害・学習障害のご家庭への、保護者相談を行っています。
通常の育児と同じく、発達障害・学習障害をお持ちのお子様との生活は、キラキラしたものばかりではありません。
「傷ついた人は間に合わせの包帯が必ずしも清潔であることを要求しない」
三島由紀夫の言葉ですが、この言葉の通り、多くの本に書かれている「理想の理論」は時に全く役に立ちません。
現実の生活に基づいた、現実的なそれでいて明るい未来が見える支援を常に心に置いています。
是非お困りごとをお聞かせください。
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